てんぷらをサックリ揚げたい
天ぷらのレシピをアップしたときに書いた内容ですが、一覧から探しやすいように独立して再掲載することにしました。
冷めてもサックリの夢を追う夢追い人に。夢に人を添えると儚いという字になるのだよ。。。
天ぷらの衣には重曹を混ぜるとかビールを使うとか、冷めてもサクッとした天ぷらレシピを検索するといろいろヒットするけどそれってどういうこと?粘着質な性格にものを言わせて調べてみました。
サックリ天ぷらのヒミツ
天ぷらの衣は基本的にたまご・水・小麦粉です。油で加熱すると衣に含まれている水分が勢いよく蒸発して気泡になり、それで衣が膨らみながら揚がるからサックリする・・・というのが理屈なようです。ということは、加熱中にうまく衣から気泡が発生する条件を整えると天ぷらはカラッ☆サクッ☆となるってことなのね?
それではこのthesis statementをもとに、よく言われているコツとかいうものを一つ一つ検証していきます。
生地はあんまり混ぜちゃダメ!の根拠
粉はあまり混ぜないのが鉄則とよく言われますが、これは小麦粉を練ってグルテンを発生させることを防ぎたいからで、理由のあることだったんですね。
グルテンは弾力性と粘着性が強いたんぱく質でうどんやパンを作るときは大事なのですが、同時に吸水性も強いという特色があるそうな。吸水力の強いグルテンが衣に入っていると、油で揚げても水分が勢いよく蒸発せず気泡になれないからダメなのね。天ぷらの衣に小麦粉だけじゃなくコーンスターチとか片栗粉、上新粉なんかを混ぜるというのは、相対的にグルテン量を減らす意味合いで有効な方法と言えるようです。
衣に氷を入れるといいというのは本当か
本当みたいです。天ぷらの衣は冷水で作れとか氷を入れろとかよく言いますが、これもグルテンは高温ほど活発に生成されてしまうからなんですって。
私はてっきり温度差が大きいといいもんだと思っていましたよ。
クックパッドに跋扈する焼酎・ビール説は?
これも本当なんだ!アルコールはグルテンの発生を妨げる働きがあるので、ビールとか焼酎を使うというのも意味のあることなんですって。ビールは炭酸も含むから、さらに気泡生成効果アップ。同じ意味で、重曹やベーキングパウダーなどの膨張剤は加熱中に炭酸ガスを発生させるので効果的なんですと。
しかし強力なオブスタクル
冷たく冷やしたビールを使い、粉に片栗粉や重曹を混ぜ、サックリとまぜる・・・科学的な根拠に支えられたこれらの手法を使えばサクサク天ぷらの夢は叶いそう!と思いたいところだけど、そうはうまくいかないですよ。。。
こんなに細心の注意を払って作った衣でも、グルテンは15分後には50%も増えてしまうらしいです。そして天ぷらを揚げた後に具材から立ち上がる湯気が、どうしても天ぷら内部からしけらせて衣をシンナリさせてしまいます。
また、煎餅ですらその辺にほっておくとドンドンしけるんだもの、どんなにカラリと揚げたところで二時間もたてばサクサクの繊細な衣がシナシナになる運命は避けられない。
これらのシンナリ要素にも負けないほどカラっとさせると、もはやサックリではなくてフリッターやカラアゲの衣のようなカリカリの範疇に入るような気がします。
結論:あきらめが肝心
今回は実験のつもりで上記の方法をすべて試しながら揚げてみました。確かに揚げたてはいつもより軽くてサックリ揚がりましたが、冷めたらやっぱりシンナリします。
「天ぷらとは本来、揚げたてアツアツをサックリいただくもの。冷めてもサックリの天ぷらを志して小細工を労しどんどん天ぷら本来の姿から遠ざかるよりは、冷めたらタレに絡ませた天丼にでもするのがむしろ理にかなっていよう」と悟りの境地に到達しました。
うどんとかそばとか、しんなり天ぷらでもそれなりにおいしいじゃないの。
突き放した結果になってしまいましたがしょうがない。がっかりせずにまたおいでくださいませ。
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