ターキーを焼こう2:ロースト、スタッフィングについて
ターキーなんて単なる丸焼きだろ?とか言うアナタ、皮をシットリさせるかパリッとさせるかテリテリさせるか、そして詰め物をするかしないか・・・この議論に参加する資格はないのでもう帰っていいよ。
チーズクロスに包んでシットリ火を通し、最後の20分でクロスをとってはちみつとバターを塗りテリテリに仕上げるとか去年やったのですが、調べてみるとこの方法についてのさまざまな錯綜する情報が・・・動揺する私!!
前回の記事で解凍とブラインについてネッチリ書きこんでしまいましたが、今回はロースト方法のアレコレと、スタッフィングについてまたまたネッチリ書いちゃいます。
ローストあれこれ
直火で炙ったりフライパンで焼いたりすることをopen fire roasting とかpan roastingとか言うこともありますけど、やっぱり通常はローストと言うとオーブンで焼くことで、ターキーを家庭で作る場合はたいていこの調理方法です。
フライヤーで丸揚げにするのが一番うまいと聞いたことがありますが、大きなフライヤーがなければ困難でしょう。家庭で作るには現実的でないのでここでは取り上げません。また、アメリカの家庭によくある野外用のグリルで焼くというレシピもありますが、火加減の調節が難しく、なんでこの寒いのにわざわざ外で?という疑問もあるのでこれも取り上げません。
オーブンの温度は325−350度(摂氏160-175度)に設定し、12パウンドくらいのもので4時間、16パウンドで5時間くらいが目安です。しかに中に詰め物をした場合、さらに30分から1時間ほど長く焼く必要があります。ご参考:Turkey Roasting Times Chart
以下、いくつかあるロースト方法について比較考察してみましょう。
シンプルがいい!焼くだけだ!!
はじめにターキー全体に溶かしバターなどの油脂を塗り、あとは基本的に焼きっぱなしにする方法です。
失敗しにくく、そこそこおいしく出来上がる手堅い手法です。たぶん上からの火に近すぎて焦げてしまわないようにだけ気をつけるれば、失敗することはないんじゃないかしら。
うまく焼きあがるとパリッと皮が突っ張った、オールドファッションで安定感を感じさせる出来上がりになり、ルックス的にも魅力的です。
ルックスもイケメンだ。
市販のオーブンバッグ使用
オーブンバッグ(oven bag)という便利な製品が売っています。
熱に強い特殊な素材のナイロン袋といった感じのもので、肉や魚をこれの中に入れてオーブンで調理すると、素材の水分が袋から逃げないのでしっとり出来上がると言うものです。アメリカではRaynoldなどのメーカーから出ていて、この時期にはターキー用サイズのバッグがスーパーなどでも手軽に買えます。
いわゆる蒸し焼きでしょ?焼き色つくの?とか疑問が浮かびましたが、画像検索してみるとoven bagを使って焼いた場合でも問題なくきれいな色に焼きあがっているようです。そして確かにバッグを使っていないときと比較するとシットリ出来上がるので、一度使った人はリピすることが多いとのことです。フーーーン。便利な道具を使ってうまいことシットリできちゃうなんてなんとなく嫉妬してしまいますね、シットリなだけに。
バスティング!バスティングしてえ!!
タレや油を素材に塗ったりかけたりすることをバスティング(basting)といいまして、ターキーの場合はオーブンで焼いている間に頻繁に肉から出てきた肉汁を肉にかけまわすことです。
手間をかけて作りたいお料理クレイジー熱をもてあましている人がウキウキやりがちですね。味をつけるにも水分を保ってシットリ焼き上げるにも、いかにも有効そう・・・・と思ってしまうのですが、実は表面にいくら肉汁を塗ってもすぐに流れ落ち、蒸発してしまうためシットリ効果はほぼゼロとの驚くべき事実を発見してしまいました。さらに頻繁にオーブンをあけることで中の温度が下がってしまい、むしろネガティブ効果のほうが大きいとか。
ところが更に検索すると、チーズクロス(薄手のガーゼのような生地)でターキーを覆い、その布に肉汁をかけて常に表面に水分を保ちながら焼く方法だとシットリ効果&味付け効果の両方を期待できるという情報が!!オゥイエー!!
表面で常に水分が蒸発しているので気化熱が奪われ、表面だけ高温になるということがなく全体にむらなく火が入るという利点もあるそうです。マーサ・スチュワートのレシピでもチーズクロス使っていますよね。最後にクロスをはずし、20分ほどオーブンの温度をあげて表面にタレを塗って焼きあげるとか言うことも可能です。日本のクリスマスにありがちなテリテリのローストチキンみたいな感じに焼き上げるとしたら最適な方法でしょう。
オーブンの開け閉めをすばやくし、内部の温度を下げないようにするなど注意も必要ですが、私が昨年やってみたところとてもおいしくできました。今年もやるつもりです。まあ無理にやることもないんですけど。
この写真はクロスをこれからはがすところで、真っ黒焦げになった肉ではありません。
スタッフィングする?
スタッフィングというのは詰め物のことで、鶏の内臓を取った後の空洞に乾燥させた角切りのパン、米、野菜や果物などを詰めて焼くことです。
ターキー味を吸ったスタッフィング・・・おいしいに決まってる!とか夢を見てしまいますが、ターキーにはスタッフィングを詰めるなという記事を大量に見つけてしまいました。
鶏の内部に詰めたスタッフィングは生肉部分に触れているので完全に火を通さないと食中毒の危険性があるのですが、スタッフィング内部が安全な温度になるまで加熱すると肉自体は焼きすぎになってしまうのだそうです。
さらに、ブラインしたりバスティングしたりと懸命に保湿してもスタッフィングが内部から肉汁を吸ってしまい、肉質がぱさついてしまうことにもなるそうです。あちゃー。
どうしてもスタッフしてみたい場合には、熱が通りやすいようにぎゅうぎゅうに詰めずにゆるめに入れること、細菌を増殖させてしまうので前日のうちにスタッフィングを詰めたりしないことが挙げられています。
私はネガティブ要素が大きいと判断し、詰め物はせず、いわゆるサイドディッシュとしてのスタッフィングは別に作り、香り付けを目的にりんごやオレンジなどの果物の皮、ハーブなどを少し中に忍ばせて焼くことにします。
「入ってないよー。見るー?」
はあはあ・・・・こんな大急ぎで書いたのはじめてで息があがっておりますが、できればサンクスギビングの前日までにもう一回アップして、お勧めのサイドディッシュからデザートまでターキーにぴったりなメニューをご提案したいと思います!スタッフィングはスタッフせずに作りますが、米とパンの二種類を予定してます。このタイミングで仕事が非常に忙しくなり「なんで一年もあったのにターキー書き溜めておかなかったの!」と自分を叱っておりますのでもう許してあげてください。
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参考資料
The Perfect Turkey: Do You Need to Baste?
Does Covering the Turkey With Cheesecloth Actually Keep It Moist?
To Stuff or Not to Stuff: A Thanksgiving Turkey Dilemma
University of Illinois Extension, Turkey for the Holidays
過去レシピを一覧にしています。よければどうぞ。→過去記事・レシピ一覧