簡単なのに本格的!ヨーロッパの牛煮込み・グーラッシュ

日本では鶏脚とかローストチキンとかがクリスマスの夕飯の定番ですが、今年は赤ワインとトマトで牛肉をまったり煮込んだヨーロピアンなごちそう料理、グーラッシュなんかどうですか?
肉を大振りに切ってじゃがいもやゆで野菜をつけあわせてステーキ並みのゴージャス感を演出できる&しかもこのレシピは誰が作っても失敗することはまず無かろうと思われるほど簡単なのに激ウマです。
  つやつやまろやかなソースで煮込んだやわらかビーフはドッシリ系赤ワインでいただきます!


材料
牛肉 800-900g
下味用赤ワイン 100cc
たまねぎ 大2個
バターもしくは牛脂 おおさじ2くらい
小麦粉 カップ1くらい
トマト缶(生トマトでももちろんヨシ) 400g
トマトペースト おおさじ軽くやまもり1
牛スープ(昨日の首骨スープが理想的ですが水でも無問題です)400cc
にんにく ひとかけ
煮込み用赤ワイン 300cc
スイートパプリカパウダー おおさじ2
キャラウェイ こさじ2
ローリエの葉 2枚
塩、こしょう


作り方
グーラッシュはシンプルなレシピで簡単に作れちゃうのですがちょっとしたコツと気配りをしてあげるとさらにおいしくなってしまう、かまってちゃん的な個性も持ち合わせています。かまってあげられる余裕のある時にはやってあげて!というような細かな注意点なんかもガンガン書いていきますが、時間や心の余裕や体力が残っていない場合にはできないことは読み飛ばしてください。それでも充分おいしくできますから。


1)牛肉は私はアメリカでchuckとよばれる首から肩にかけての肉を使いましたが、モモなどでもいいでしょう。おおきめ(3-4センチ角くらい)に切って塩こしょうと赤ワイン100ccを揉みこみます。前日にやってもOKです。使うしばらく前に冷蔵庫から出して室温にしておきましょう。
生の牛肉は料理する前の下準備に水や酒などを吸い込ませておくと火にかけても柔らかくジューシーにできあがるという性質があります。中華料理などの炒め物の下準備にも有効なテクニックなので覚えておくといいですョ!


2)にんにくをみじん切り、たまねぎを薄切りにして、煮込み鍋にバター少々をとかし軽く塩こしょうを振り、ローリエの葉を入れて弱火でフタをしつつ時々かき混ぜて蒸らし炒めます。
 ゆっくり蒸らし炒めをすると甘みが引き出されていいのですが、やってみると1時間弱くらいかかってしまうので時間のないときにはザッと炒めるだけでいいです。そのあと煮込むので甘みはそれでも充分出るはずです。


3)これは弱火で50分くらいときどきかき混ぜながらフタをして蒸らし炒めをした写真です。
 たまねぎから水分が出て、炒め物とももはや言えないスープ状になっています。すごく甘くてまろやか。


4)フライパンを中火でよく熱してバターを溶かし、牛肉に小麦粉をつけながら焼き付けます。
 袋にいれて振ると汚れ物が出なくていいですが、その場合は順番に焼いているうちに袋の中で肉がメッチャリしめってくることがないようにちょっとずつ振るようにしてください。焼くときには表面の粉が乾いた状態の方がこげついたり衣が脱げたりなどしにくいように思います。
 表面が焼けたら順次たまねぎの鍋に入れていき、フライパンにバターを足しながら焼いていきます。

肉をフライパンに入れたときに温度があまり下がってしまうと焼いている間に水が出てくる → 小麦粉がドロドロとける → とけた小麦粉がドンドン鍋底に張りついてこげる、のイライラカオスの発生はフライパンを充分熱してから室温の肉を少しずつ焼くことでだいたい防げると思います。
どんだけ気をつけていても衣がはがれるときにははがれちゃうんだけどね。


5) 肉をすべて焼いてたまねぎの鍋に移したら、フライパンを火にかけたままで煮込み用ワイン300ccを一度に入れます。
 こびりついてる焼けた肉の香ばしさをすべてワインに取り込ませるように手早くヘラでフライパンの鍋底、側面をこすります。

 そしてそのワインもたまねぎの鍋に移します。


6) いよいよ煮込みます!トマト缶を投入!
 紙パックでも生トマトでももちろんいいのです。ホールトマトならつぶしながらどうぞ。

 続けてトマトペースト。

 牛スープもいれましょう。無ければ水でも無問題です。コンソメみたいなのはしょっぱくなりすぎないように気をつけて味見しながら使ってください。

 キャラウェイと・・・

 パプリカパウダーも投入!
キャラウェイとパプリカはグーラッシュに独特の香りと風味を加えるのに不可欠なスパイスなのでぜひぜひ使って欲しいところです。お手元に無ければ使わなくてもおいしいシチューにはなるのですが、そうなるともはやグーラッシュではなくただの牛肉のトマト煮こみと呼ばざるを得ない・・・!


7)あとは煮込むだけです。長々書いてしまいましたが要はたまねぎを炒めて肉を焼いて、材料をすべて一緒に煮込むだけの簡単料理ですね。


煮込み料理のガッカリはこう防げ!
しかし煮込む段階でヘタをすると肉は硬くてパサパサモサモサな出来上がりになってしまい、時間をかけただけに多大な失望感にノックアウトされてしまうことに。。。。そうかと言って「とにかく長く煮込めば硬くなるはずはないだろう?」と煮つづけて、あぶら気の抜けたパサパサ肉が繊維にそってぼろぼろにほどけて鍋中に漂うという、どうにもこうにも救いようがない事態に陥ることもままあります。怖い!ヤダそんなの!


肉食とかいいつつスレンダーで美人でどこかにウソがあるに違いないと疑いながらも惹かれずにはいられない私の憧れお料理ブロガー、安全ちゃん豚の角煮のレシピ鶏肉飯のレシピでこの事態を忌避する手段を実証してくれていますが、コツはゆっくりと加熱し、低めの温度で長時間煮ることと要約できるようです。肉のたんぱく質が加熱されるとどうなるかという科学的な事実に基づいていて、炊飯器の保温機能で肉を料理するレシピも同じ性質を利用したものなんですね。実際にカレー、シチューなどの肉系煮込みに弱火で煮る方法をとるようになってから、私も煮込みに関する失敗は皆無&毎回満足な結果になっています。

なので材料をすべて入れたらよくまぜて、終始弱火で煮続けましょう。なかなか鍋中が熱くならずまだるっこしく感じますが、これが上質スローライフの象徴・・・と上質ライフを送る自分を想像しながら待てば案外あっという間ですョ!フローライフに憧れのない方は大掃除の一環として換気扇でも掃除するとこれまたあっという間です。

 温度計で測りながら煮てみましたが、一度も85度以上になりませんでした。食中毒の原因になる近の多くは70度で死滅するそうなのでこのへんも心配なさそうです。

煮ている間は鍋に付ききり出なくていいのですが、小麦粉が入っているので焦げ付かないようにたまに鍋底からヘラで大きく、しかしやさしくかき混ぜてください。最低3時間は煮込みましょう。


 最後に塩こしょうで味を整えてできあがりー!一日置くと更においしいですョ!次の日に温め返すときも時間は掛かりますが弱火でゆっくり加熱してください。

ほんとにもう、なんと形容したらいいのやら。。。トマトの軽やかな酸味が肉の煮込み料理にありがちなドッシリ感を軽減させていながら、肉のうまみもたっぷりでキャラウェイとパプリカの香りが異国情緒も感じさせ、かつしっとりやわらかな牛肉の大きなかたまりに満足感も充分・・・。

先週12人を収容した飲み会にて約2.4キロの牛肉を使用して作ったグーラッシュがひとかけの肉も残さず完食されたという事実からもどれほどウマイかがうかがい知れる、ほんとにおススメのレシピですので、クリスマスにかぎらずぜひともお試しください。


ちょっとした追伸
このレシピで作ると、肉に対してソースが余るほどたくさんできると思いますが余ったソースは瓶などに入れて冷凍保存することをおススメします(辰巳芳子先生の本より)。これを次回煮込むときに混ぜると、作ったその日なのに一晩寝かせたようなこなれた味にできあがります。
私は毎回グーラッシュを作るごとに一部を冷凍し続け、老舗鰻屋や味噌カツ屋や焼き鳥屋が秘伝のタレをけして切らさずに作り続けていくようにグーラッシュのソースを育てていたのですが、かつて私の出張中にドテラが解凍&完食してしまうという暴挙をしでかしてしまったことがあります。
 食うなと書いていないものはなんでも食ってしまうドテラに、これを見るたびに思い出し立腹。思い出し立腹とか思い出し笑いって「どうしたの?」とか言われてもほんと説明できなくて困りますよね。



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